お悩み・症状別食事法
1効果的な栄養素、食品
2控えたい食品
3食べ方、生活習慣のポイント
免疫の司令塔の役割を担うT細胞には、Th1細胞とTh2細胞の二種類があります。Th2細胞は異物に対してアレルギー反応を起こし、Th1細胞はアレルギーを抑制する働きがあります。
健康な状態ではこの二つのT細胞のバランスが取れた状態になっていますが、花粉症などのアレルギーを起こしやすい人には、Th2細胞が多いことがわかっています。
Th2細胞が暴走すると、B細胞に抗体(IgE抗体)を産生するように指示を出します。
この抗体が肥満細胞と結合した状態で花粉などの抗原に出会うと、ヒスタミンなどの炎症物質をつくります。
このヒスタミンがアレルギー症状を発症させます。
外からの異物に立ち向かい、体を守るのが免疫ですが、外からの異物と密接な関係にあるところが「腸」です。腸は口から入った病原菌が体の内部まで入り込みやすいため、外部からの異物に抵抗する免疫細胞が多く、全身の60%以上が集中しています。
腸の免疫力は、腸内菌叢のバランスによって差が出てきます。腸内の善玉菌が優勢な環境であれば、善玉菌が免疫細胞を強くして、外部から侵入する菌に打ち勝ち、防御する力も強まります。逆に、悪玉菌が多い環境だと、侵入者への防御反応が弱まるばかりではなく、免疫細胞が外界の異物に過敏に反応してしまいます。つまり、アレルギーがひどくなるわけです。
最近の研究で、免疫は小腸と大腸の二段階で調整されていることがわかってきました。
小腸では、乳酸菌やビフィズス菌が直接免疫力をアップするように働きます。免疫を担当する細胞の数は小腸の方が大腸の100倍以上と圧倒的に多いのですが、大腸内の腸内常在菌も免疫調節に重要な役割を果たしています。
花粉症が起きているときは、Th2細胞が暴走している状態です。Th2細胞の暴走の原因の一つに動物性タンパク質や脂質などがあります。これらが十分に消化されないまま腸に届くと、腸内の悪玉菌が増殖し、腐敗物質を産生して腸壁を傷つけます。するとそこでTh2細胞が暴走して、花粉症の症状も重くなるというわけです。
つまり、腸内の悪玉菌を減らして腐敗物質の産生を抑え、ビフィズス菌などの善玉菌を増やして腸内環境を整えれば、Th2細胞の暴走を抑えて花粉症の症状を抑えられると考えられます。