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お悩み・症状別食事法

潰瘍性大腸炎

監修
  • 管理栄養士 加藤初美
  • 管理栄養士 日本綜合医学会食養学院教授 川越牧子
潰瘍性大腸炎とは
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜および粘膜下層にびらんや潰瘍をつくる原因不明の慢性炎症性疾患です※1。近年、わが国でも患者の増加が著しく、厚生労働省の特定疾患(難病)(1)に指定されています。
多くの患者は良くなったり(寛解)悪くなったり(再燃)を繰り返すことから、長期間の治療が必要です。原因はまだ不明ですが、この病気はアレルギー(自己免疫)が関与している可能性が高く、アトピーや喘息と近い病気ではないかと考えられています。その理由として、
  • 若い人に多い※2
  • 季節の変わり目やストレスにより悪化することが多い
  • 高齢になると症状が軽減する人が多い
  • 患者自身や血縁者がアトピーや喘息になることがある
などがあります。そのため、「アレルギー体質」による病気と考えて、上手に付き合っていくことが大切です。

※1 医科学国際組織委員(CIOMS)では、「主として粘膜と粘膜下層を侵す、大腸特に直腸の特発性、非特異炎症性疾患。30歳以下の成人に多いが、小児や50歳以上の年齢層にもみられる。原因は不明で、免疫病理学的機序や心理学的要因の関与が考えられている。通常血性下痢と種々の程度の全身症状を示す。長期にわたり、かつ大腸全体を侵す場合には悪性化の傾向がある。」と定義しています。

※2 30歳以下の成人に多くみられますが、最近は小児や50歳以上の年齢層でも増えています。

食事と対策

1おすすめの栄養素、食品

  • 適度に食物繊維を取りましょう。玄米食、野菜(煮たもの)などを加えた和食を中心とした食事で、適度な食物繊維を取ります。いろいろな食材からバランスよく取るのが望ましいです。
    食物繊維の多くは腸内細菌により分解され、短鎖脂肪酸になります。短鎖脂肪酸は大腸粘膜の栄養になり、粘膜の修復を促進すると考えられています。

    食物繊維

  • 抗酸化物質を含む食品を取ります。(野菜、海藻類、大豆、玄米、玄米発酵食品など)

    抗酸化物質

    酸化を防ぐ作用を持つ物質は、炎症も抑えることが期待されています。
  • IPA(EPA)とDHAは炎症を抑える作用があるので、適度に取りましょう。(青背魚(さば、いわし、さんま))

    IPA(EPA)とDHA

  • n-3系の植物性油脂のα-リノレン酸を含む油も、炎症を抑える作用があるので、適度にとりましょう。(しそ油、えごま油、亜麻仁油)
    *オリーブ油に多く含まれるオレイン酸はn-9系の脂肪酸のひとつで、炎症を悪化させる作用はないと考えられています。特に制限する必要はありません。
  • 下血がある場合は、鉄欠乏性貧血になることが多いので、鉄分を含む食品を取ります。(大豆、納豆、小松菜、ほうれん草、春菊、高野豆腐、いんげんまめ、かき、しじみ)

    鉄分

  • 治療薬として用いられるステロイドは、骨のカルシウムを減少させて骨を弱くする作用があります。骨を強くするためにカルシウムを十分に取ることが大切です。(魚介類、大豆、大豆製品、えんどう豆、生揚げ、ごま、菜の花、モロヘイヤ、干しえび、海藻)
  • 消化酵素を含む食品は、消化を促し胃腸の負担を減らします。(山芋(生)、大根(生)、麹菌で発酵させた食品(生味噌、玄米発酵食品など))
  • 腸内の善玉菌を増やすものをとりましょう。(オリゴ糖、乳酸菌やビフィズス菌の多いもの)

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2控えたい食品

  • 飽和脂肪酸を多く含む豚肉や牛肉、またn-6系の脂肪酸を多く含む植物油(紅花油[サフラワー油]、綿実油、大豆油、コーン油、ひまわり油)は控えます。体の中でアラキドン酸やリノール酸が酸化されて、炎症を引き起こす物質(過酸化脂質)になることがあります。

    飽和脂肪酸を多く含む食品

    英国の191人の患者さんを追跡した調査では、肉、特に豚肉や牛肉、サラミやソーセージなどの加工肉を多く食べる人は5.2倍、卵を多く食べる人は2.3倍、再燃しやすいと報告されました。普段から豚肉、牛肉、加工肉は少なめにして、魚などを主体とした食事が良いでしょう。
  • 一般常食(脂質目標摂取量:20~30%/日総エネルギー※)よりも、脂質を控えめにしましょう。ファストフードや油で揚げたスナック類、肉や加工食品を食べていると脂質エネルギー比率はさらに高くなるので注意します。

    脂質エネルギーの高い商品

  • 食品添加物であるカラギナン(増粘多糖類)が潰瘍性大腸炎の発症に関係している可能性を指摘する研究者がいます。なるべくカラギナンの入っていない食材を選ぶのがよいでしょう。(ゼリー、氷菓子、缶コーヒー、ハム、ソーセージなど)
  • 刺激物(アルコール、冷たい飲食物、香辛料、炭酸飲料、コーヒーなど)は避けましょう。
    アルコールを多く飲む人は2.7倍再発しやすいという報告もあります。
参考
  • 書籍『潰瘍性大腸炎と上手に付き合う本―病気を理解して上手に付き合えば大丈夫』 著者 石川秀樹(京都府立医科大学 特任教授)
  • 「日本人の食事摂取基準(2015年版)」(厚生労働省)より

3食べ方、生活習慣のポイント

  • 精神的ストレスが原因になっていることがあります。食生活の改善も、ストレスにならない程度に行いましょう。
  • 楽しい雰囲気で食事をしましょう。

    楽しい食事

    日本の100人の患者さんに調査を行なった結果、食事が楽しいかどうかを聞いたところ「楽しい」と答えた人に対して「楽しくない」と答えた人は2.3倍も悪化していました。また、1人で食べることの多い人が悪化する傾向がありました。
  • 規則正しい食生活を送りましょう。
    朝食を抜く人は男性で2.6倍、女性で2.4倍悪化するという報告があります。朝食をしっかり食べて、なるべく決まった時間に昼食と夕食をとり、間食を控えることが、1日のリズムが整えるため良いと考えられます。
  • 下痢のために脱水を起こすことがありますので、注意が必要です。上手に水分を取りましょう。

    水分

    • 胃が急に膨らむと反射が起こり、腸が動いて下痢になるので、水分は何回にも分けてゆっくりと飲みましょう。
    • 吸収の良い水分を取りましょう。冷たいものは避け、少し温かくしたお茶などが良いでしょう。
    • 炭酸、糖分、甘味料の入ったものは避けましょう。
    • 体調の悪いときは、スープやお粥など水分の多い食事にすると、食事から水分が取れるのでおすすめです。
    • スポーツドリンクは吸収が良いですが、糖分が多く入っているのであまり飲みすぎないように注意してください。
  • 十分な睡眠を取りましょう。

    睡眠

    日本の100人の患者さんに調査を行なった結果、睡眠時間が7時間以上の患者さんは、7時間未満の人より悪化する率が1/3でした。また、不眠感を持っている人は1.9倍も悪化していました。
  • ストレスのかからない生活を心がけましょう
    原因の一つにストレスがあります。ストレスには身体的ストレスと精神的ストレスがありますが、なるべくストレスのかからない生活を心がけましょう。
    <身体的ストレス>
    身体的ストレスの代表は、寝不足と過労。寝不足にならないよう、しっかり睡眠時間をとりましょう。
    日焼けもストレスになりますので、皮膚がヒリヒリして痛くなるような強い日差しは避けましょう。
    お腹を冷やさないように気をつけ、お腹を強く締め付ける服は避けた方が良いです。
    <精神的ストレス>
    精神的ストレスの代表は、不安や心配。病気のことで不安や心配があるときは、遠慮なく主治医や周りの人に相談しましょう。また、人間関係のトラブルも大きな精神的ストレスになります。親しい友人との会話や、映画鑑賞、趣味、リラックスする場所を見つけるなど、自分なりのストレス発散法をみつけましょう。
  • 季節の変わり目に注意
    季節の変わり目にも注意が必要です。最も多いのは秋で、その次が春です。特に1日の気温の変化が激しいときに悪化する人が多いです。人によって季節が決まっていることが多いので、その季節は特に注意することも大切です。

食改善の基本となる15のポイントも参考にどうぞ→

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