腎臓に起こる疾患には、様々な種類があります。主な疾患について、簡単に解説します。
1.腎炎
腎臓には、毛細血管が糸くず状にかたまった糸球体という組織があり、血液を濾過して尿を作っていますが、この糸球体に症状が起こるのが腎炎です。
2.急性腎炎
溶連菌などの感染によって抗体が作られ、細菌と抗体が結合したものが腎臓に入り、糸球体が障害を起こします。
子どもに多く発症しますが、1割くらいは慢性に移行します。
食事や水分の制限が必要です。
(病状によっては塩分、たんぱく質、カリウムの制限があります)
3.慢性腎炎
急性腎炎が治りきらずに移行するケースも多少ありますが、9割は原因不明です。
自覚症状が少なくて放置すると腎不全になります。
(腎機能が正常であれば食事の極端な制限はありませんが、塩分は控えます)
4.腎盂腎炎(じんうじんえん)
多くは膀胱炎から移行します。
症状は、寒気、高熱、むかつき、嘔吐、全身倦怠感、腎臓のあたりの痛み、腰痛で頻尿や残尿感、排尿時の痛みといった膀胱炎の症状を伴うことがあります。
利尿作用のあるカリウムを取り、水分も取るようにします。
5.ネフローゼ症候群
疾患を指すのではなく、原因疾患が何であれ、高度のたんぱく質尿と低たんぱく質血症、脂質代謝異常症、浮腫ふしゅ(むくみ)などを呈する症候群をいいます。
原因は腎炎がほとんどですが、糖尿病や全身性エリテマトーデスなどといった他の病気の合併症として起こる場合もあります。
6.腎不全
糸球体の硬化と間質の繊維化が進行して腎機能が低下した状態で、尿の出が悪くなります。
腎不全は急性(大出血ややけど、ひどい下痢や嘔吐により体液や電解質が大量に失われます)と慢性(長期にわたって徐々に腎臓の働きが低下し、初期は自覚症状が乏しく、進行すると尿毒症になります)があります。
7.尿毒症
腎臓の働きが極端に落ちたために、尿の中に排泄されるべき老廃物が身体の中に貯まってしまう状態で、むくみ、嘔吐、倦怠感、食欲不振、頭痛、呼吸困難、貧血、かゆみなどの症状が現れます。
食事制限が必要で、食物繊維とIPA(EPA)は大切です。善玉腸内細菌が増えることにより、アンモニアの生成を抑えます(血中尿素の減少にも良いです)。
但し、カリウム制限がある場合が多いので野菜は茹でこぼして使うと良いでしょう。
8.糖尿病性腎症
糖尿病により血糖値が高い状態が長く続くことで、全身の動脈硬化が進行し、腎臓の糸球体が詰まったり、老廃物をろ過することが出来なくなることで起こります。