お悩み・目的別 食事法

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胃のトラブル(胃炎、胃潰瘍、機能性ディスペプシア)

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監修

医学博士 根本英幸 
管理栄養士 石井尚美

通常、胃の内側は粘液で保護されていますが、ピロリ菌や薬剤(NSAIDs)等によって、粘液による防御・修復機能が弱まります。
胃酸による損傷を受けやすくなった消化管に炎症や潰瘍が起きます。
大きな病気や大やけどなどの外傷に由来するストレス性胃炎もあります。
潰瘍・炎症などの原因が見つからないのに「胃が痛い」「胃がもたれる」などの慢性的な痛みや不調がある、機能性ディスペプシアも現代人に良く見られます。
胃に優しい食生活で、胃のトラブルを予防しましょう。

おすすめの栄養成分と食品



1.アミラーゼ:でんぷんを分解する酵素です。胃の消化の負担を減らします。
●山芋(生)、大根(生)、麹菌で発酵させた食品(生味噌、玄米発酵食品など)

2.プロテアーゼ:たんぱく質を分解する酵素です。胃の消化の負担を減らします。
●大根(生)

3.ビタミンU:粘膜の修復、保護作用もあります。
●キャベツ

4.ビタミンA(=カロテン):粘膜を保護します。
●小松菜、春菊、赤ピーマン、かぼちゃ<br />

5.ビタミンC:コラーゲンを生成して粘膜を保護、滋養強壮効果もあります
●小松菜、カリフラワー、ブロッコリー、ピーマン、レンコン

6.ビタミンE:粘膜を保護します。
●大豆、大豆製品

7.ムコ多糖類(水溶性食物繊維の一種):粘膜を保護します。
●オクラ、なめこ、山芋、モロヘイヤ

8.ナイアシン:胃腸の働きを助けます。
●魚類、玄米発酵食品

9.ビタミンB12:不足すると食欲不振に繋がります。
●納豆、いわし、たまご、貝類、発酵食品、海藻類、スピルリナ

10.主食は、胚芽米、分づき米にしましょう。玄米食は消化の面で避けたほうがよいです。
ただし玄米粥や、繊維が微粉末となっている玄米粉・玄米発酵食品などは適量なら問題ありません。

11.副食は「ま・ご・わ・や・さ・し・い・こ」を上手にとりいれましょう。
●まめ、ごま(種実類)、わかめ(海藻)、やさい、さかな(魚介類)、しいたけ(きのこ)、いも類、はっこう食品)
ただし、消化の良くない海藻・きのこは、摂り過ぎないように気を付けましょう。

12.貧血がある場合は鉄、葉酸、ビタミンCなど造血に必要な栄養素をとりましょう。
貧血に対する食事法はこちら

控えめにしたい食品


1.脂質は胃に負担となるため少量とします。植物油(亜麻仁油、えごま油、ごま油、オリーブオイル、米油)を少量用いる程度に抑えます。

2.アルコール、コーヒー、紅茶、炭酸飲料など刺激の強い飲料は避けましょう。

3.香辛料(胡椒、唐辛子、ワサビなど)など刺激の強い食品は避けましょう。

4.塩味の強いもの、酸味の強いもの(果物など)は避けましょう。

5.砂糖の多い菓子類は控えます。

食事と生活習慣のポイント


1.ストレスや睡眠不足は胃の知覚過敏を引き起こす可能性があるため、規則正しい生活を心がけましょう

2.一度に食べる食事の量が多くならないように食べすぎに注意しましょう
食欲のない場合は間食の量を少し多めにし、栄養不足にならないように心がけましょう

3.胃への負担を少なくするために、ゆっくりよく噛みましょう。

4.麺類や丼もののように、よく噛まずに飲み込む料理は避けましょう
症状が強いときは、材料をよく煮て柔らかくして食べますが、回復に伴い、食べ物の硬さを徐々に普通に戻していきましょう。

5.胃を休ませるために、長期間の絶食や食事回数を極端に減らすことは避けましょう。
胃が空のときも胃液は分泌され、中和するものがないと胃に負担がかかります。
規則正しい食事を心がけましょう。

6.就寝前に食事をするのは避けましょう。遅くとも就寝する2時間前には、食事を終わらせましょう。

7.味付けは薄味とし、素材の味を生かす工夫をしましょう。

急性の胃炎の場合


胃を休ませ、温かい番茶、白湯、健康茶などの、カフェインを含まない水分を適量摂取します。
様子を見ながら、重湯・葛湯など流動食を摂取します。
3~4日かけながら、3分粥→5分粥→7分粥→全粥→常食へと戻していきます。

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