お悩み・目的別 食事法

  • 女性に多い悩み

貧血

  • facebook
  • twitter
  • はてなブックマーク
  • LINEで送る

監修

医学博士 根本英幸
管理栄養士 石井尚美


貧血の中でも一番多いのは鉄欠乏性貧血で、若い女性に多いです。ヘモグロビンの構成要素である鉄の欠乏により起きます。貧血による症状は、皮膚や粘膜の色が蒼白になる、まぶたの裏や爪などの赤みが薄くなる、全身倦怠感、脱力感、動悸、息切れ、めまい、頭重感などがあります。体内で生成できない鉄分をはじめ、食生活に気を付けることで、貧血を予防しましょう。

おすすめの栄養成分と食品


1.鉄分を含む食品を取ります。
●大豆、納豆、ひじき、小松菜、ほうれん草、春菊、高野豆腐、いんげんまめ、かき、しじみ



2.非ヘム鉄の吸収をよくするビタミンCを取ります。
●じゃがいも、さつまいも、菜の花、ブロッコリー、芽キャベツ、レンコン、カリフラワー、いちご、みかん類



3.酸味は、胃粘膜を刺激し、胃酸の分泌を高めて鉄の吸収をよくします。
酢、梅干し、柑橘系の果物(レモン、ゆず、だいだい、すだち、かぼす)を調味料などとして使用しましょう。



4.主食は未精白穀物にします。
造血に必要な鉄以外の栄養素(リン、銅、コバルト、ビタミンB2、ニコチン酸、ビタミンB6、ビタミンEなど)が豊富に含まれます。 
●玄米や分づき米、玄米発酵食品、そば、全粒粉のパンや麺類

*胃腸が弱っている場合は、玄米食でなく、胚芽米、分づき米を使いましょう。ただし玄米粥や、繊維が微粉末となっている玄米粉・玄米発酵食品は適量であれば問題ありません。



5.銅は鉄を必要な場所に運ぶ役割をしており重要です。
●玄米、そば、押し麦、やまといも、さつまいも、大豆、納豆、かき、かに、するめ、えび



6.たんぱく質を十分取りましょう。
●魚介類、大豆、納豆、豆腐



7.造血に必要なビタミンB12は、主に魚介類に多く含まれます。
納豆や藻類からも取ることができます。
●しじみ、あさり、かき、うるめいわし、さんま、帆立貝、海苔、藻類、納豆



8.造血に必要な葉酸を取りましょう。
●大豆、あずき、いんげんまめ、菜の花、枝豆、モロヘイヤ、ブロッコリー、アスパラガス、春菊、種実類、魚介類、玄米、玄米発酵食品



9.カルシウムをとりましょう。
ヘモグロビンの合成障害をおこす鉛の吸収を抑制します。
●ごま、高野豆腐、厚揚げ、小松菜、海藻



10.副食は「ま・ご・わ・や・さ・し・い・こ」を上手にとりいれましょう。
●まめ、ごま(種実類)、わかめ(海藻)、やさい、さかな(魚介類)、しいたけ(きのこ)、いも類、はっこう食品

控えめにしたい食品


  1. お茶、コーヒーを食事中や食後にたくさん飲むと、鉄分とタンニンが結合して鉄の吸収を低下させるので控え目にしましょう。特に冷えたウーロン茶は控えましょう。

  2. 牛乳の飲み過ぎや乳製品の取り過ぎは貧血を招くので、控えめにしましょう。

食事と生活習慣のポイント


1.鉄なべを使った調理も、鉄分を取るのに効果的です。


2.栄養バランスを欠いたダイエットは、貧血を招くので注意しましょう。
体重管理の食事法はこちら


3.ビタミンB12の吸収には、胃粘膜から分泌される内因子が必要なので、胃腸の調子が悪い場合、胃の働きを良くします。
胃のトラブルの方向けの食事法はこちら


4.腎臓の機能が低下し、エリスロポエチンの分泌が減少して貧血になる場合があります。腎臓を強くする食事を心がけます。
腎臓のトラブルの方向けの食事法はこちら

関連情報



貧血の原因をご紹介します。

  • 栄養のアンバランスによる鉄、銅、たんぱく質の不足(偏食、ダイエット、摂食障害など)
  • 鉄の過剰喪失(潰瘍、がん、痔、月経、子宮筋腫)
  • 鉄の吸収阻害(胃切除、吸収不良症候群など)
  • 妊娠、授乳などで需要増加に補給が間に合わない
  • 腎機能の低下や障害

その他、ビタミンB12や葉酸の欠乏によって起こる悪性貧血(巨赤芽球性貧血(きょせきがきゅうせいひんけつ))、骨髄で血液をつくる能力が低下しているために起こる再生不良性貧血などがあります。ビタミンB12、葉酸欠乏による症状は、食欲不振、胸焼け、下痢、便秘、萎縮性舌炎、年齢不相応の白髪、女性では無月経、不妊症、両手足のしびれ、運動失調を伴う神経症状、歩行障害などがあります。




PDFで見る