監修
医学博士 根本英幸
管理栄養士 石井尚美
以下、主な心臓のトラブルを解説します。
1.狭心症
心臓を動かす筋肉(心筋)に栄養分や酸素を運ぶ冠動脈が動脈硬化、粥状硬化(アテローム性動脈硬化)などで狭くなったり閉塞したり、けいれんのために内腔が狭まり心筋が一過性に酸素不足(虚血)に陥った状態です。主な症状は胸、とくに左胸の痛みや圧迫感などの首が締まるような感じ、背中の痛み、頭痛、動悸、息切れ、めまい、などの症状を訴えることもあります。安静にしていると、数分から20分くらいで症状は消えます(30秒から5分以内が大部分)ので、すぐに命にかかわることは少ないのですが、放っておくと心筋梗塞に進むことがあります。
心臓の右心室は収縮して肺に血液を送り出すポンプの働きをします。この収縮力が低下して、全身の静脈系にうっ血する状態を右心不全といいます。下肢からむくみが始まります。左心室は肺から送り返されてきた血液が左心房を経由して入ってきたのを、全身の動脈に送り出すポンプの働きをします。この力が低下して肺静脈にうっ血する状態を左心不全といいます。呼吸が苦しくなって呼吸するたびに、喉がぜーぜー、ひゅーひゅーとなるので心臓喘息ともいいます。身体を動かすと動悸や息切れがします。重症になると夜寝た時に空咳が出て風邪と間違えたりします。進行して息苦しくなったとき、上半身を起こして寝ると楽になるのが特徴です。